病院から「危篤です。できるだけ早く来てください」と連絡が入ると、多くの方は頭が真っ白になります。
こうした判断を、短時間でいくつも迫られるからです。危篤とは、一般に担当医が、回復の見込みがきわめて低く、生命の危険が迫っていると総合的に判断した状態を指します。ただし、危篤と告げられたからといって必ずすぐに亡くなるとは限らず、告知後しばらく持ち直す場合や、小康状態が続く場合もあります。だからこそ、慌てて動くのではなく、優先順位を決めて落ち着いて行動することが大切です。
危篤時に必要なのは、すべてをその場で決めることではありません。
まずは医師の説明を正確に聞き、必要な人へ連絡し、病院へ向かう準備を整え、本人との時間をできるだけ大切にすることが中心になります。そのうえで、場合によっては泊まり込みや家族内の役割分担、もしものあとの準備も少しずつ考えていきます。病院ごとに面会人数や時間、持ち込みの可否は違うため、病院側の案内に従うことも重要です。
この記事では、危篤と言われたときに家族がまず何をするべきかを、
の順に、実務で使いやすい形で整理していきます。
大切な人との時間を後悔なく過ごすために、必要なことを一つずつ見える形にしていきます。
危篤とは、病気やけがの回復の見込みが少なく、命の危険が差し迫っていると医師が判断した状態です。呼吸の弱まり、血圧や心拍の低下、意識レベルの低下などがみられることがありますが、最終的には担当医が全体を見て家族へ説明します。つまり、危篤は単なる「重症」という意味よりも、今すぐにでも命の危機が起こり得る段階として受け止めるのが基本です。
一方で、危篤と告げられたからといって、全員がすぐに亡くなるわけではありません。
数時間で亡くなる場合もあれば、数日小康状態が続くこともあります。ですから、「まだ時間があるかもしれない」と楽観しすぎるのも、「もう間に合わない」と決めつけるのも避けた方がよいです。危篤連絡を受けたら、今行かないと後悔するかもしれないという前提で動くのが現実的です。
危篤と言われた直後は、まず感情が大きく揺れます。
ただ、その中でも最初に大切なのは、医師や看護師の説明を落ち着いて聞くことです。
確認したいのは、
といった点です。わからないことは、その場で遠慮せず聞いてよいと案内されています。説明内容はメモを取り、家族と共有しやすくしておくと、その後の連絡や判断がかなり楽になります。
ここで大事なのは、「ちゃんと理解してから動く」ことです。
危篤という言葉だけに反応して全員へ一斉に連絡するより、まずは病院側の説明を受け、どの程度急ぐのか、面会できるのか、今何が必要なのかを確認した方が、その後の動きに無駄が出にくくなります。生活葬祭センターでも、危篤時のご相談では「まず病院の指示を整理し、それから家族内の連絡順を決める」ことを大切にしています。
危篤の連絡は、一般には三親等以内を一つの目安にすることが多いです。
配偶者、子、親、兄弟姉妹、祖父母、孫、叔父叔母、甥姪、ひ孫などがその範囲に入ります。ただし、これはあくまで目安であり、三親等でなくても、本人が特に会いたがっていた方や、最期に立ち会ってほしい方がいるなら連絡してかまいません。人数が多い場合は、代表者を決めてその人から広げてもらう方法も実務的です。
連絡の優先順位の目安
優先度 |
相手 |
連絡の理由 |
最優先 |
配偶者・子・親・兄弟姉妹 |
すぐに来るか判断が必要 |
高い |
近い親族・喪主候補になり得る家族 |
今後の判断や分担に関わる |
高い |
特に親しい親族・友人 |
最期に会わせたい場合がある |
必要に応じて |
本人の勤務先や自分の勤務先 |
業務や休暇の調整のため |
危篤連絡は、早朝や深夜でも電話で伝えるのが基本です。
メールやメッセージは補足には使えても、緊急性の高い第一報には向きにくいです。ただし、自分の勤務先への連絡は、夜間であればメールで一報を入れ、朝になってから電話で補足する方法も現実的です。
危篤連絡では、長く説明する必要はありません。
最低限、
親族への電話例
〇〇です。突然でごめんなさい。
母が今、〇〇病院で危篤です。
できれば早めに来てもらえたらと思って連絡しました。
病院名は〇〇病院、私の携帯は〇〇です。
来られそうか分かったら連絡ください。
このくらいの短さでも十分です。
危篤連絡は丁寧な文章を作ることより、相手がすぐ動ける情報を落ち着いて伝えることの方が重要です。
危篤の連絡を受けたら、できるだけ早く病院へ向かうのが基本ですが、何も持たずに飛び出すと後で困ることがあります。
危篤状態はどのくらい続くか分からず、泊まり込みになることもあるため、最低限の持ち物をそろえて向かう方が安心です。持ち物としては、携帯電話と充電器、財布、現金やカード、親族の連絡先、着替え、洗面用品、常備薬などがよく挙げられています。
持ち物の目安
持ち物 |
理由 |
携帯電話・充電器 |
連絡と情報共有に必須 |
財布・現金・カード |
交通費、食事代、急な支払いに備える |
親族や関係者の連絡先 |
その場での連絡に必要 |
着替え・下着 |
泊まり込みや長時間滞在に備える |
洗面用品 |
数日付き添う可能性に備える |
常備薬 |
自分の体調管理のため |
メモ帳・筆記具 |
医師の説明や連絡内容を記録するため |
ただし、荷物は大きくしすぎない方が現実的です。
必要最低限を持ち、足りないものは後から家族に届けてもらう、交代で付き添う、といった形の方が動きやすいです。
病室に着いたら、まずは本人の様子を見て、可能なら静かに声をかけます。
意識がある場合はもちろん、意識がないように見えても、声や気配は伝わっている可能性があると考えられています。「来たよ」「そばにいるよ」「ありがとう」といった短い言葉を、落ち着いて伝えるだけでも十分です。無理に励まそうとしすぎるより、本人の不安を増やさないように、穏やかに寄り添うことが大切です。
言葉が見つからないときは、手を握る、肩や腕にそっと触れる、そばに座って静かにいるだけでも構いません。
緩和ケアでは、本人だけでなく家族のつらさにも支援が向けられるとされており、家族自身が無理をしすぎず、困りごとを医師や看護師に相談してよいと案内されています。つまり、危篤時は「何か特別なことを言わなければ」と思い詰める必要はなく、そばにいること自体が大きな支えになると考えてよいです。
危篤時は特別な状況ですが、病院のルールは必ず守る必要があります。
面会人数や時間、飲食、花の持ち込み、香水の使用などは病院ごとに異なり、終末期や急変時には通常ルールと例外運用があることもあります。実際に、国立がん研究センター中央病院では、面会制限、病室への花の持ち込み不可、香水使用の遠慮、貴重品管理などが案内されています。また、別の総合病院でも、感染対策のため面会条件や人数制限、手指消毒が示されています。
そのため、
といった基本は強く意識した方が安心です。
「最期に会いたい」という気持ちがあっても、病院全体の安全と本人の状態への配慮が優先されることは忘れないようにしたいところです。
危篤時は、一人がすべてを抱え込むと判断も連絡も混乱しやすくなります。
そのため、家族が複数いるなら、できるだけ役割分担をした方がよいです。たとえば、
のように役割を分けると、全体がかなり動きやすくなります。連絡リストを作り、優先順位をつけて落ち着いて連絡することも勧められています。
また、家族の誰かが強く動揺しているときは、その人に重要判断を集中させないことも大切です。
危篤時は本人だけでなく家族のつらさも大きく、家族自身が支援を受けてよいとされています。だからこそ、「しっかりしなければ」と一人で背負い込むより、周囲の力を借りながら支える方が、結果として本人にとってもよい時間になりやすいです。
危篤連絡は、深夜や早朝に入ることも珍しくありません。
その場合でも、本人と近い関係の方への連絡は時間を問わず行うのが一般的です。遠方の親族についても、すぐ来られるかどうかは別として、まず一報を入れておいた方がよいことが多いです。後から「知らせてほしかった」となるより、来訪を強制しない形で先に伝える方が後悔が少ないです。
遠方で移動に時間がかかる場合は、
を早めに確認すると動きやすいです。
無理な運転で急ぐより、安全に確実に向かうことの方が大切です。気が動転しているときは、自分で運転せず、タクシーや公共交通機関を選ぶという考え方も実務的です。
危篤と言われた段階で、まだ亡くなったわけではありません。
ただし、その後すぐに搬送先や家族連絡で慌ただしくなる可能性はあります。
そのため、本人との時間を優先しながらも、家族の中で
くらいは確認しておくと、その後の混乱を少し減らしやすいです。危篤を知らされた段階で、葬儀相談や今後の流れを少し確認し始める家族も珍しくないとされています。
ここで大事なのは、準備に気を取られて本人との時間を失わないことです。
準備は最小限で構いません。
この二つが見えているだけでも、その後の動きはかなり違います。生活葬祭センターでも、危篤段階のご相談では、葬儀内容を細かく決めるより、まず最初の動きが止まらないようにすることを大切にしています。
危篤時は、善意でも避けたい行動があります。
たとえば、本人の前で大声で取り乱す、病状や死期を断定する、病院ルールを無視して大人数で押しかける、必要以上に延命や葬儀の話を本人の近くで続ける、といったことです。
また、家族の誰かが「自分だけで全部やる」と抱え込みすぎるのもよくありません。危篤時には、家族自身の心身の負担にも目を向け、医療スタッフへ相談してよいとされています。
危篤の場面では、正解探しよりも「後悔を増やさないこと」が大切です。
そのためには、
この基本から外れないようにすることが一番大事です。
まず確認
連絡
持ち物
病院で
余裕があれば
危篤とは、回復の見込みがきわめて低く、命の危険が迫っていると医師が判断した状態です。ただし、危篤と告げられてもすぐに亡くなるとは限らず、数時間から数日小康状態が続く場合もあります。だからこそ、危篤連絡を受けたら、慌てすぎず、まずは医師の説明を聞き、必要な人へ順に連絡し、できるだけ早く病院へ向かうことが大切です。
連絡の目安としては三親等以内が一般的ですが、特に親しい方や最期に会わせたい方がいれば、その範囲に限る必要はありません。病院へ向かう際は、携帯電話、充電器、現金、着替え、常備薬、連絡先メモなどを持って行くと安心です。病院では、面会人数や花の持ち込み、香りのあるものの制限など、施設ごとのルールに従う必要があります。
また、危篤時に本人へできることは、特別な言葉を探すことより、静かにそばにいること、感謝を伝えること、家族で支え合うことです。家族自身も強い負担を抱えるため、医師や看護師に自分たちの不安を相談してよいとされています。危篤時は「完璧に対応すること」より、「後悔を増やさないよう、今できることを一つずつ行うこと」が何より大切です。